パンが大好きで、海が見える丘の上で、15年石窯パンの店をやっています。
おいしいパンを焼くために、試行錯誤して、たくさん失敗した中から、自分なりに見つけた方法を、自宅でパン作りをされる方のヒントしてもらいたいです。
食パンを作る工程
すべての工程で、失敗する原因があります。パン作りはそれだけ奥が深いです。
ただ、失敗しやすい原因がわかっていると、必ず満足できるパンを焼けるので、ぜひ一つ一つ注意して作ってみてください。
- 材料を計量する
- こねる
- 一次発酵
- 成形
- 二次発酵
- 焼成
材料の量と質に間違いがある
パンは、酵母という微生物の力で膨らませます。
生き物なので、とても繊細です。主な注意点は3つ
きちんと計量していない
パンはとっても繊細です。必ず、きちんと計量しなくてはいけません。
1g単位の軽量は0.1gまで計れるものを使用しないと、正確には軽量できません。
いろいろ使ってみましたが、タニタの計量器が安くて正確で、壊れにくいです。
1キロの粉と副材料、ボウルの重さプラスアルファを考えると3キロまで計れるこのクッキングスケールが一番おすすめです。
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イーストが古い
イーストが古いと、十分に働いてくれずに、パンが膨らみません。
密閉してきちんと冷蔵庫で保管していても、開封してしまうとどんどんイーストの働きが悪くなってしまいます。
イーストが使えるかどうか確認するには、
35度のぬるま湯100g
砂糖 1g
イースト 5g
を混ぜて、30度の場所で10分ほど置き、元気よく泡立ってくればOK。
泡が全体に出なければ使えません。ほかの材料の無駄になってしまうので、新しいものを購入しましょう!
使い切れない場合は、小分けになっているものを使うと便利です。
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小麦粉が食パン向きでない
小麦粉には、含まれるたんぱく質の量によって、少ない順に 薄力粉 中力粉 強力粉と分けられます。
たんぱく質量が多いと、グルテンが多く形成されて、よく膨らむ食パンが作られます。
ケーキやクッキーは薄力粉 バゲットは中力粉が使われます。食パンに使うと、全然ふくらみが足りないパンになります。
代表的な食パン向きの小麦粉は
スーパーキング(日清製粉) / 2.5kg【富澤商店 公式】:ふくらみが良く、粘りがとっても強いボリュームたっぷりの食パンが焼けます。
春よ恋 / 2.5kg【富澤商店 公式】:国産小麦の中でも、品質が安定していて、製パンに向いています。ふっくらした食パンが焼けます。
はるゆたか100% / 2.5kg【富澤商店 公式】:なめらかでもちもちとした触感の食パンが焼けます。
小麦粉は、開封後は冷蔵庫で保管し、早く使い切りましょう。小麦粉も古くなると製パン性が悪くなります。常温で保存すると、ダニが発生するので、必ず冷蔵庫で!!
送料が高いので、一つの店で小分けの小麦粉を数種類買って、気分によって変えたり、ブレンドしたりするのがおすすめ。
楽天では、3980円以上買うと、送料無料になります。
レシピの量が多すぎる
レシピ通り作っていたら、問題ないですが、
例えば、少し甘くしたいから砂糖を増やしたり、リッチな味わいににしたいから、牛乳をたっぷり使ったり
とアレンジをしていくうちに、どんどんふくらみが悪くなってしまう場合があります。
これも酵母の働きと関係しています。
塩の分量 → 小麦粉を100として、塩は2程度 多すぎると発酵しないべたっとした生地 少なすぎると生地がまとまらないべちゃべちゃ生地
砂糖の分量 → 小麦粉を100として、砂糖は12まで 多すぎると、イーストが活性化しない 少ないと、イーストの栄養が足りずにふくらみが足りなくなる。
砂糖のおおいパンを作りたい場合は、15%以上の砂糖でも、元気に発酵する 耐糖性のイーストを使います。
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乳製品の量 → 乳製品30 牛乳なら水分量90%で水と置き換え 生クリームなら50%の水と置き換え 乳脂肪は加えるとしっとりして風味が増し、パンの老化を抑える。多すぎるとべたっとして、ふくらみを阻害することも。
なかなか調べても出てこない失敗ポイントが、
イーストと塩を絶対くっつけないこと。
イーストは生きています。塩に直接触れると、浸透圧の関係で死滅してしまいます。
ついつい面倒だからと塩 イーストを同じ容器で測ったりしてしまっていると、イーストが働かなくなってしまいます。
生地のこね方が足りない
まず、家庭で作られるパンが膨らまない一番の原因はコネ不足。
たまーに、テレビなんかでパン作りをしているのを見ても、おっとこね方ちょっと足りないなって思うときがあります。
レシピに10分こねると書いてあっても、10分でこねあがらないと思った方が良いです。
十分かどうかは、写真のように、生地が薄ーく伸びるようになったら 合格です。

発酵時の温度・湿度が低い
2番目に多い失敗が この1次発酵(2次発酵も)の温度と湿度の問題
たいてい温度も湿度も低すぎて失敗します。
理想は35度 湿度80% なんとか、この環境を作り上げるしかありません。
一番原始的な方法 :おおきめの発砲スチロールに生地を入れ、お湯を入れた湯飲みを何個か入れて蓋をする
オーブンレンジの発酵機能を使う : 発酵の機能を利用し、生地と お湯を入れた湯飲みも入れる。
発酵器をつかう:パンを本格的に作るなら、発酵はとても大切な工程のため、一定の温度に保てる発酵器はとても便利です。オーブンと別に発酵器があれば、小さなパンを焼いてから食パンを焼いたり、何種類も時間差で作れるのが便利。湿度は別に湯飲みなどで調節
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成形の仕方
いろいろな成形の方法がありますが、
基本は、丁寧にやさしく扱うこと。ガス抜きも力任せにするのではなく、大きくたまったガスをやさしく逃がしてあげるようにするとよいです。
最終発酵が多い・少ない
一次発酵と同じく温度湿度を管理して、発酵させます。
発光時間は90分~120分ほど。
型の8割くらいまで膨らんだらOKです。膨らみが足りないと、ぎっしりと詰まった重いパンになります。膨らみすぎると、焼成時に逆にしぼんでぺったんこなパンになり、バサバサしたパンになってしまいます。
膨らめば良いというわけでもないので、好みの発酵具合で、次の焼成の段階へ。

オーブンの予熱が足りない
オーブンの予熱は、レシピ通りの温度より少し高めにします。
扉の開け閉めで、どうしても温度が急激に下がるので、扉を開けている時間は最低限に抑えて、最初の10分は開けずに見守りましょう。
表面が焦げそうなら、後半にアルミホイルをかぶせるなどしてもOK
使っているオーブンや食パンの大きさによって、焼成温度と時間は調節が必要です。
何度か焼いて調整しましょう。
まとめ
パン作りは、すべての工程で注意するところがあり、大変です。
大変だからこそ、窯伸びした、もちもちのおいしい食パンが焼けると 本当に幸せです。
失敗は成功の元。ぜひ失敗の理由を知って、次には最高の食パンを焼いてみてください。
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